改正貸金業法の早期完全施行等を求める意見書
平成21年委員会意見書第2号(議決日:平成21年12月15日)
経済・生活苦での自殺者が年間7,000人に達し、自己破産者も18万人を超え、多重債務者が200万人を超えるなどの深刻な多重債務問題を解決するため、平成18年12月に改正貸金業法が成立し、出資法の上限金利の引き下げ、収入の3分の1を超える過剰貸付契約の禁止(総量規制)などを含む同法が完全施行される予定である。
改正貸金業法成立後、政府は多重債務者対策本部を設置し、同本部は(1)多重債務相談窓口の拡充、(2)セーフティネット貸付の充実、(3)ヤミ金融の撲滅、(4)金融経済教育を柱とする多重債務問題改善プログラムを策定した。そして、官民が連携して多重債務対策に取り組んできた結果、多重債務者が大幅に減少し、平成20年の自己破産者数も13万人を切るなど多重債務対策は確実に成果を上げつつある。
他方、一部には、消費者金融の成約率が低下しており、借りたい人が借りられなくなっている。特に昨今の経済危機や一部商工ローン業者の倒産などにより、資金調達が制限された中小企業者の倒産が増加していることなどを殊さら強調して、改正貸金業法の完全施行の延期や貸金業者に対する規制の緩和を求める論調がある。
しかしながら、1990年代における北海道拓殖銀行、山一證券の破綻などに象徴されるいわゆるバブル崩壊後の経済危機の際は、貸金業者に対する不十分な規制の下に商工ローンや消費者金融が大幅に貸し付けを伸ばし、その結果、平成10年には自殺者が3万人を超え、自己破産者も10万人を突破するなど多重債務問題が深刻化した。
改正貸金業法の完全施行の先延ばし、金利規制の貸金業者に対する規制の緩和は、再び自殺者や自己破産者、多重債務者の急増を招きかねず、許されるべきではない。今、多重債務者のために必要とされる施策は、相談体制の拡充、セーフティネット貸付の充実及びヤミ金融の撲滅などである。
よって、国におかれましては、地方消費者行政の充実及び多重債務問題が喫緊の課題であることも踏まえ、下記の事項を実現するよう強く要望する。
記
- 改正貸金業法を早期に完全施行すること。
- 自治体での多重債務相談体制の整備のため相談員の人件費を含む予算を十分確保するなど相談窓口の拡充を支援すること。
- 個人及び中小事業者向けのセーフティネット貸付をさらに充実させること。
- ヤミ金融を徹底的に摘発すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成21年12月15日
江南市議会
提出先
衆議院議長
参議院議長
内閣総理大臣
国家公安委員会委員長
消費者行政担当大臣
金融担当大臣
総務大臣
法務大臣
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