施政方針
令和6年市議会3月定例会における施政方針全文
本日ここに、令和6年江南市議会3月定例会が開会されるに当たり、私の施政に対する方針を申し述べまして、市議会議員各位並びに市民の皆様の深いご理解とご協力をお願い申し上げるものでございます。
私は市長に就任して以来、「市民の皆様との対話」を市政に対する基本方針として心掛け、市民の皆様の声に耳を傾けながら、暮らしが花ひらく生活都市の実現に向け、市政運営に全力で取り組んでまいりました。
さて、我が国においては、日本社会の最大の戦略課題に「人口減少問題」を掲げ、抜本的な強化を図ることとした、こども・子育て政策をはじめとする「包摂的な社会の実現」や、深刻化する人手不足の中で行政サービスを維持していくための「デジタル行財政改革」を柱に、「いま政府ができることはすべてやる」との構えで全力を挙げていくとしています。
本市におきましても、平成30年度にスタートしました第6次江南市総合計画では、人口減少社会を前提とし、これまで様々な施策に取り組んでまいりました。令和6年度からは、令和9年度までの4年間を計画期間とした後期基本計画に沿って、まちづくりを推し進めてまいります。後期基本計画では、人口減少・少子高齢化への対応だけでなく、働き方や価値観の多様化、デジタル技術の発展、脱炭素社会の実現など、新たな社会課題にも確実に対応するとともに、市長の政策ビジョンを示す「市長の戦略政策」についても更新を図っております。「市長の戦略政策」としましては、選挙の際にお示ししました「Kビジョン3」を反映し、「にぎわいと住みよさの向上」、「全世代への安心としあわせの提供」、「生きがいやコミュニティの創出」の3つの政策を柱として、『すべての世代に実感できるしあわせ』をお届けしたいと考えております。その実現に向け、地域社会の多様なニーズに対応するため、引き続き、安定した行財政運営基盤の構築を基本として、柔軟な発想と創意工夫により、地域課題の解決を図ってまいります。
次に、注力して推進している主な事業について述べさせていただきます。
学校給食の提供につきましては、令和7年9月の供用開始に向け、新学校給食センターの整備を引き続き進めてまいります。
また、子育て世帯の経済的負担を軽減するため、令和6年度から小学校、中学校の給食費4月分を無償化するとともに、国立及び私立小中学校、特別支援学校に通う児童・生徒や、アレルギー等の理由により学校給食の提供を受けていない児童・生徒に対しましては、1か月間の無償化相当分の支援金を支給してまいります。
公共施設の再配置の推進につきましては、先程述べました新学校給食センターの整備の他にも、(仮称)多世代交流プラザの整備としまして、老人福祉センター、中央コミュニティ・センターの建替えに合わせまして、既存の機能に加え、児童館や国際交流等の複数機能を一つの建物に集約することにより、多世代多文化交流の創出、地域福祉の推進を図ってまいります。また、江南市立あずま保育園と中央保育園の統合・民営化について、民間保育所を整備する事業者に対しその費用を補助し、保育サービスの充実や保育に対する新たなニーズに対応してまいります。
このように老朽化した公共施設の更新に合わせまして、再配置を計画的に実施していくことにより、公共施設の総量縮減と市民ニーズへの対応、市民サービスの向上を図ってまいります。
ゼロカーボンシティ江南の推進につきましては、公共施設のLED化を推進し、環境事業センターを始めとし、市営住宅、下般若・後飛保両配水場、学習等供用施設の照明のLED化改修工事を行ってまいります。また、電気自動車の導入拡大を図り、本庁公用車及び配水場公用車に軽自動車を各1台導入し、脱炭素社会の実現に向けて取り組んでまいります。
DXの推進につきましては、デジタル技術を活用し、施設利用者の利便性向上を図るため、書かない・並ばない窓口システムを活用したスマート窓口を導入するとともに、保育園や学童保育、放課後子ども教室などの施設におきましては、保護者の方や市役所との連絡調整がよりスムーズになるようなシステム等の整備を図ってまいります。また、事務効率の向上を目的として、人事管理に関する庶務管理システムを導入するなど、事務の電子化も進めてまいります。
さらに、令和7年度末までの国の標準仕様に合わせた標準準拠システムへの移行に向けて、市の基幹系システムや各担当課の個別システムの改修等も確実に進めてまいります。
それでは、令和6年度の予算編成の基本的な方針について、ご説明申し上げます。
我が国の経済は、内閣府による1月の月例経済報告では、景気は、このところ一部に足踏みもみられるが、緩やかに回復していると報告されております。
一方、本市の財政は、市の一般財源の根幹をなす市税は、個人住民税の定額減税による影響を除くと、全体として増額すると見込まれるものの、少子高齢化への対応や多額の財政負担が必要となる大型事業を抱えていることから、健全な財政運営を継続するために、「選択と集中」により経営資源を確保しながら、市民ニーズに沿った事業へと見直しを行い、計画的で効率的な財政運営を進めていく必要があります。
こうした状況を踏まえて、第6次江南市総合計画に基づき編成しました令和6年度の当初予算は、一般会計で318億801万3,000円、令和5年度に比べて8.1%の増でございます。特別会計は4会計で、その総額は195億7,079万8,000円、令和5年度に比べて3.0%の増でございます。
また、水道事業会計は24億1,966万7,000円、令和5年度に比べて6.0%の増、下水道事業会計は36億8,692万5,000円、令和5年度に比べて8.7%の増でございます。
全会計あわせますと、574億8,540万3,000円で、令和5年度に比べて6.2%の増でございます。
こうした状況の中、令和6年度における主な施策につきまして、第6次江南市総合計画に掲げます5つの分野別に方針を述べさせていただきます。
まちづくり分野
第1は、まちづくり分野でございます。
はじめに、『限られた資源の活用』についてでございます。
「ごみ減量と再利用の促進」としましては、資源ごみ集積場所における収集容器の設置・管理について、地区役員等による早朝からの作業への協力体制の構築に資するため、資源ごみ集積場所数に応じた協力金を交付してまいります。また、新たに布袋駅北側の鉄道高架下に整備したリサイクルステーションを、令和6年4月から開設してまいります。
さらに、ごみ処理基本計画改訂事業につきましては、平成27年3月に策定しました江南市ごみ処理基本計画(改訂版)が計画期間満了となるため、社会情勢等を考慮して改訂してまいります。
「ごみの適正な収集、運搬、処分」としましては、新ごみ処理施設建設事業につきまして、令和10年度の供用開始に向けて、尾張北部環境組合が主体となって事業を進めてまいります。
次に、『にぎわいあるまちづくりの推進』についてでございます。
「秩序ある都市計画の推進」としましては、江南市立地適正化計画の策定から概ね5年ごとの評価・見直しに合わせて防災指針を策定し、災害リスクに対応した持続可能なコンパクトで機能的なまちづくりを進めてまいります。
「市民の足の確保」としましては、いこまいCARの迎車回送料金を市が負担することにより、利用者負担の軽減を図ってまいります。
「中心拠点の基盤整備」としましては、布袋駅付近において布袋南部土地区画整理事業の換地処分、また、toko+toko=labo(トコ・トコ・ラボ)南東側道路の一部区間の道路改良工事及び排水路整備を進め、江南駅周辺においては、駅前広場を中心とした交通環境改善計画策定に係る関係機関協議等を進めてまいります。
「道路交通ネットワークの整備推進」としましては、都市計画道路江南通線の整備に向け、測量を進めてまいります。
次に、『生活にゆとりとうるおいを生む公園緑地推進』についてでございます。
「都市公園等の整備推進」としましては、ごみ処理施設整備・運営事業に伴う地域振興策事業により、中般若地区に公園の整備を進めてまいります。
次に、『生活を支える道路の整備と維持管理』についてでございます。
「道路の整備及び維持管理」としましては、道路施設の健全性を確認するため定期点検を実施し、必要に応じて計画的に修繕を行うことにより、道路施設の長寿命化を進めてまいります。
次に、『浸水被害のないまちづくりの推進』についてでございます。
「雨水貯留機能の強化と河川・排水路の改修整備」としましては、雨水貯留機能の強化を目的として、古知野高等学校への雨水貯留施設整備工事において、令和6年度、令和7年度にかけ雨水貯留施設に雨水を取り込む流入管布設工事を行ってまいります。また、古知野西小学校及び古知野南小学校への雨水貯留施設整備に向け、測量設計を継続して実施するとともに、河川や調節池などの整備につきましても、引き続き県に対しまして、早期整備を要望し、さらなる治水安全度の向上に取り組んでまいります。
次に、『公共下水道の普及促進』についてでございます。
「下水道管きょの建設・維持管理及び普及促進」としましては、下水道の普及促進のため、効率的な整備を進めるとともに、供用区域の早期接続を促すため、未接続宅の訪問及び啓発活動を継続して実施してまいります。
次に、『安全な水の安定供給』についてでございます。
「水道事業の健全な経営」としましては、水道事業を安定的に継続していくため、令和7年度以降の水道料金について、上下水道経営審議会にて検討してまいります。
「水道施設の整備と水道水の安定供給」としましては、地震被害を最小限に抑えるため、基幹管路及び配水管の耐震化を計画的に進めてまいります。
ひとづくり分野
第2は、ひとづくり分野でございます。
はじめに、『地域に開かれた快適で安全な学校づくりの推進』についてでございます。
「学校教育環境の充実」としましては、学校現場におけるトラブルに対して、法務に関する専門的な知見を取り入れ、教職員の心理的負担軽減を図りつつ、児童生徒の最善の利益を保護するために、スクールロイヤーを設置してまいります。
次に、『心豊かな子どもの育成支援の推進』についてでございます。
「子どもを育成する環境の充実」としましては、教室に入れない児童の居場所づくりのため、校内教育支援センターを小学校1校に増設してまいります。
次に、『地域の特色を活かした芸術・文化・交流の促進』についてでございます。
「文化芸術の振興」としましては、老朽化が進んでいるHome&nicoホールの音響設備の更新を図ってまいります。
次に、『地域が支える子育て支援の推進』についてでございます。
「働きながら子育てする家庭への支援」としましては、ひとり親の養育費確保の支援として、養育費に関する公正証書の作成費等を補助することで、離婚後の生活や子育てに関する不安の軽減を図ってまいります。
「遊びを通じた楽しく豊かな子育ての実現」としましては、学童保育の利用ニーズの高い夏休み期間中の支援員不足の解消を図るため、継続して人材派遣により必要な支援員を確保するとともに、各学童保育所の通信環境の整備や事務職員の配置により、育成支援の向上を図ってまいります。
しごとづくり分野
第3は、しごとづくり分野でございます。
はじめに、『地域の雇用を支える産業の育成支援』についてでございます。
「商工業の活性化」としましては、創業支援補助金の交付や市内金融機関等との連携により、創業・起業を志す方を支援してまいります。
「企業誘致の推進」としましては、雇用の安定と創出や税収の増加等、活力のあるまちづくりを図るため、安良区域への企業誘致を継続するとともに、曽本地区における新たな工業用地の整備に向け、地権者同意の取得などを進めてまいります。
次に『農業の安定経営と農業施設管理』についてでございます。
「農業の安定経営のための支援と農業用施設の適正管理」としましては、新規就農者に対する支援や、農地中間管理機構を活用した農地の集積・集約化など、引き続き耕作放棄地の減少に向けて取り組んでまいります。
また、安定的な農産物の生産や農業経営の実現を図るため、老朽化が進む各土地改良区の用排水路などの改修や、暗きょ化された宮田導水路上部の遊歩道整備を行う県営事業に対して、負担金を支出してまいります。
ちいきづくり分野
第4は、ちいきづくり分野でございます。
はじめに、『安心・安全な地域づくりの推進』についてでございます。
「災害対策活動の充実・強化、有事対策の確立」としましては、自ら避難することが困難な高齢者や障害者等の避難行動要支援者の避難の実効性の確保に向け、個別避難計画の作成を進めてまいります。
「交通安全及び防犯施策の推進」としましては、防犯カメラを設置する町内会等への補助金制度を創設することで、犯罪の抑止及び地域の防犯力向上を図り、安心・安全な地域づくりを推進してまいります。
次に、『支え合う地域社会の推進』についてでございます。
「地域福祉の推進」としましては、第2次地域福祉計画に基づき地域共生社会の実現を目指し、高齢者・障害者・生活困窮者などの各福祉分野の枠組みを横断した包括的な相談支援の体制を整備するとともに、地域の多様な主体がともに支え合い、誰もが安心感と生きがいをもって暮らすことができるよう、重層的支援体制の整備を進めてまいります。
また、福祉タクシーの迎車回送料金を助成し、利用者負担の軽減を図ってまいります。
次に、『介護保険制度の健全な運営』についてでございます。
「介護保険サービスの提供、介護保険事業の適正運営」としましては、高齢者が住み慣れた地域で安心して生活できるよう地域包括ケアシステムの深化・推進を図ってまいります。
また、グループホームを利用する家賃負担が困難な低所得者に対し、利用者負担の軽減を行った事業者に補助を行ってまいります。
次に、『障害者が生き生きと暮らせる支援の推進』についてでございます。
「障害者の日常生活及び社会生活への支援」としましては、障害福祉サービス等の提供体制を確保するため、障害福祉サービス事業所等の社会福祉施設を整備する際の事業費の一部を補助してまいります。
次に、『誰もが活躍できる健康な生活の確保』についてでございます。
「感染症予防」としましては、予防接種費用の経済的負担の軽減並びに健康保持及び増進を図るため、帯状疱疹ワクチン接種に要する費用の一部を助成してまいります。
次に、『市民の安心を守る消防・救急体制の充実』についてでございます。
「消防体制の充実」としましては、災害対応特殊小型動力ポンプ付水槽車1台の更新を図ってまいります。
また、震災時において消防水利を確保するため、経年した防火水槽の延命と耐震化が可能な鋼製タンクを設置し、早期の震災対応化を図ってまいります。
行政分野
第5は、行政分野でございます。
はじめに、『地域協働の推進』についてでございます。
「地域協働の促進」としましては、地域交流の拠点である「江南市地域交流センター」の運営により、様々な活動主体の交流を創出するとともに、各種相談や講座等を実施し、引き続き地域の活動を支援してまいります。
次に、『総合的な政策の推進と職員の人材育成』についてでございます。
「中長期的な政策立案の推進」としましては、第6次総合計画の前期基本計画のまちづくり評価を実施し、達成状況報告書を作成いたします。
また、令和6年6月1日に市制70周年を迎えるに当たり、令和6年度を通して70周年記念事業を実施し、周年年度を市民の皆様と一緒に盛り上げてまいります。
「DXの推進」としましては、生成AI、音声を文字データへ変換処理する会議録作成支援システム、紙媒体の帳票を文字データへ変換処理するAI-OCRの活用を推進するとともに、県内全市町村が参加する「あいちAI・ロボティクス連携共同研究会」において、RPAの活用方法等について共同で研究を進めるなど、デジタル技術の活用により、さらなる業務の効率化を図ってまいります。
次に、『適正かつ効率的な事務による開かれた行政』についてでございます。
「資産の適正な管理運用」としましては、令和6年10月から口座振替で支払う際の振込手数料について費用負担が生じるなど、指定金融機関等へ適正な費用負担が求められるなか、歳入の受入及び市債務に対する支払に要する経費負担の軽減に取り組んでまいります。
以上、私の施政に対する所信を述べさせていただきました。
本年は、市制施行70周年の節目を迎えます。市制70周年の4つの基本コンセプトである「全世代対象」、「SDGs」、「元気回復」、「魅力再発見」と、市制70周年キャッチフレーズ「あすへと続く 私たちのまち 江南」のもと、6月の記念式典をはじめ、様々な記念事業を開催し、この1年を華やかに彩り、盛り上げてまいります。これまでの70年の歴史を振り返りながら、これからも愛され続ける江南市を目指すとともに、市民の皆様と互いに「おめでとう」や「ありがとう」を伝え合える1年にしてまいりたいと考えております。
協働のパートナーである市民の皆様を始め、議会の皆様とも、相互に連携し合いながら様々な事業を推進し、江南市に暮らすすべての人が住みよさ、しあわせ、生きがいを実感でき、“明日が今日より楽しい一日”になるような暮らしの実現と、誰一人取り残さない持続可能なまちづくりを進め、この江南市を次世代につないでいくため、私自身、先頭に立って江南市政を牽引するため、全力で取り組んでまいります。
何とぞ、市議会議員各位並びに市民の皆様の深いご理解とご協力を賜りますよう、心よりお願い申し上げまして、私の施政方針とさせていただきます。
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