国の私学助成の増額と拡充に関する意見書
平成29年委員会提出意見書案第3号(議決日:平成29年9月22日)
私立学校は、国公立学校とともに国民に教育を受ける権利を保障する公教育の場として重要な役割を担っており、国においても、昭和50年に学費の公私間格差是正を目的とした私立学校振興助成法を制定し、文部省による国庫助成たる各種助成措置が講じられてきた。
しかし、地方自治体では財政難を理由に私学助成を抑制、削減する動きが後を絶たず、少子化による生徒減とも重なって、多くの学園の経営は苦しく、十分に教育条件を改善できない事態が続いている。
また、父母負担の公私格差はいまだ大きく、多くの生徒が無償の公立に対して、私学の初年度納付金は約64万円を超え、授業料助成制度があるものの、私学を自発的に選択できる層は、ごく一部に限られている。「父母負担の公私格差の是正」はいまだ抜本的な解決には至っておらず、今年度より愛知県立高校の入試制度が見直されたが、その一方で私学を自由に選択できないなど、「公私両輪体制」にとっていびつな状況が今なお続いている。
全国的には大阪府、京都府に続いて、今年度より東京都、埼玉県が私立高校無償化へ踏み出し、「私学も無償化」への期待は大きく高まっている。政府は5月18日、6月19日に「高校生等への修学支援に関する協力者会議」を開催し、すでに制度改善の検討に入っているが、私学を自由に選択できるようにするためには就学支援金の一層の拡充をはじめ、各県格差の是正、支給対象を学納金とすることなどは喫緊の課題である。
私学は、「公教育」の重要な役割を担っている。本来、学校は公立・私立を問わず、誰もが教育の中身によって自由に選択することが望ましく、父母負担と教育条件の公私格差を是正することは、単に私学の問題だけでなく、父母・国民にとって切実な要求であり、とりわけ、準義務化された高校教育においては急務となっている。
貴職におかれては、父母負担の軽減と教育改革を願う広範な父母・国民の要求に応え、学校と教育を最優先する施策を推進することこそが望まれている。
よって、当議会は政府に対し、国の責務と私学の重要性に鑑み、父母負担の公私格差を是正するための就学支援金を一層拡充するとともに、併せて、私立学校振興助成法に基づく国庫補助制度を堅持し、私立高校以下の国庫補助金と、それに伴う地方交付税交付金を充実し、私立高等学校以下の経常費補助の一層の拡充を図られるよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成29年9月22日
江南市議会
提出先
内閣総理大臣
財務大臣
文部科学大臣
総務大臣
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